11月下旬あたりに、検察審査会事務局というところから「検察審査員候補者名簿への記載のお知らせ」という書類が届くことがあります。
この検察審査会、実は世間でよく知られている裁判員制度よりも長い歴史を持っています。任期ごとに任命される審査員の人数が少ないこと、守秘義務があるため審査員経験者が積極的に情報発信・共有できないことが、知名度の低さにつながっているのかもしれません。
検察審査会について
検察審査会では、刑事裁判にかけられた被疑者に対して、検察官が下した判断(不起訴=起訴する必要はない)が妥当なものであったかどうかを審査します。
検察審査員は選挙権を持つ国民の中からくじ引きで選ばれ、審査員と欠席があったときに代理を務める補充員の合わせて11名が、審査のため非公開の会議を行います。
検察官は裁判で「起訴する権利」を独占しています。その検察官の判断に、有権者の民意を反映していくことが検察審査会の趣旨であるといわれています。
会議中に聞き慣れない用語が出てくればその都度職員の方が解説をはさみ、法律が専門ではない人でも内容を理解できるようにサポートしてくれます。そのため専門知識を要求されることはありません。
届いた書類に書かれているのはざっくりとした概要です。もっと詳しく制度の内容について知りたい場合は、裁判所の公式ウェブサイトで検察審査会制度Q&Aを参照してみてください。
候補者名簿に載ったらどうするの?
この書類が届いた時点では、審査員に選ばれたわけではありません。名簿に記載された人は、任期ごとに4つのグループに分けられています。
その任期の約3か月前までに質問票が送られてきて、必要事項を記入して返送することになります。
この質問票で辞退を希望しなかった、したけれど認められなかった人たちの中から、さらにくじ引きで審査員と補充員を選びます。
例外として、第1群だけは任期がもっとも早い2月から始まるため、最初から質問票が同封されています。
質問票について
質問票では、氏名や現住所・連絡先など、辞退を希望する場合はその理由を記入します。検察審査会制度Q&Aの「辞退方法」にもある通り、一定の条件を満たしていれば辞退が認められます。
しかし、大半の方が条件にあてはまらず「やむを得ない理由」で辞退したいという状況にあるのではないかと思います。
質問票の説明書きが簡素で具体例もなく、どうやって書いたらいいだろうと悩む方もいるはずです。本当に事情があって辞退を希望する場合は、決して辞退事由を適当に書いてはいけません。
辞退が認められず抽選に組み込まれた結果、出席できないにもかかわらず審査員に選ばれてしまう可能性があります。
次回は、質問票の中の辞退事由の書き方についてまとめていきます。