検察審査会からの質問票、辞退理由を書くとき気をつけるポイントとは?

今回は検察審査会事務局から名簿記載通知を受け取った人宛に後日届く、質問票についてです。この質問票の意図は、あなたは審査員候補者の名簿に載りましたが、もし選ばれたら審査員の職務を務められそうですか?という確認です。特に問題なければそのままくじ引きの対象になります。

検察審査会の審査員に選ばれるかもしれない、という機会は生涯何度も巡ってくるものではないので、仕事や私事を調整してでも参加してみたいという方には朗報かと思います。

ただ中にはもしくじ引きで当たってしまったら、とてもじゃないけれど仕事を抜けられない、健康面に不安がある、まだ子どもが小さくて負担が大きい等、さまざまな理由で辞退させてほしいと思った人がいるはずです。

質問票の裏面に、辞退事由を記入する欄があります。辞退を申し出る場合はここに記入し、さらにそれを証明する資料があれば添付します。資料が提示できる(転居・通院・留学など)ケースは、余程のことがないかぎり辞退が認められると思います。

どんな理由なら辞退が認められるのか?

検察審査会制度Q&Aによると、原則的に辞退はできないとされています。 ただし、以下の条件にあてはまる人は辞退が認められます。

(1)70歳以上の人
(2)国会又は地方公共団体の議会の議員(ただし会期中に限ります)
(3)国又は地方公共団体の職員及び教員
(4)学生,生徒
(5)5年以内に裁判員や検察審査員などの職務に従事した人及び1年以内に裁判員候補者として裁判員選定手続の期日に出頭した人
(6)3年以内に選任予定裁判員に選ばれた人
(7)一定の「やむを得ない理由」があって,検察審査員の職務を行うことや検察審査会に行くことが困難であると検察審査会が認めた人

辞退を検討している方の大半は、(7)の「やむを得ない理由」にあてはまるのではないかと思います。原則的に辞退はできませんが、個々の事情もある程度は配慮されるということです。

辞退事由を書くときに意識すること

持病があって通院しているなど、やむを得ない理由を証明できる書類があればそれほど考える必要はありません。

問題は書類で証明できない・しづらいケースです。例えば仕事の多忙さを書類で証明することは難しいと思います。この場合はとにかく、検察審査員に選ばれても半年の任期を務めあげることが非常に困難であるという事情を詳細に説明することが重要です。

例え仕事が忙しいことが事実だとしても、簡潔に「仕事が忙しいので辞退します。」と1行書いただけでは深刻さが伝わりません。また、存在しない大量の会議や長期出張をでっちあげるのもおすすめできません。裏付けができないだけに真実味がなく、辞退するための嘘と判断されることもありそうです。

もしも仕事を理由に辞退を考えているなら、こんな感じでしょうか。

  • どのような仕事をしているか、会社での立場など
  • 審査員として招集され、月に何度も会社を休むとどんな不都合があるか
  • 申し訳ないけれど辞退させてほしいと重ねてお願いする

転職したばかりで休みをとるのは気がひけるし仕事に集中したい、人員不足で仕事を休むことができない、など理由はいろいろとあると思います。しかしどのような理由であれ、選ばれたとしても責務を果たせず本当に困ってしまうということを強調することが大切です。

次回は、仕事以外の個人的な事情をいくつか取り上げて、辞退事由を書くときに参考になるかもしれないポイントをまとめます。